この記事から何回かに分けて、現在以下のGitHubページで開発中の気象観測ボットについて説明していこうと思います。今回は、なぜこんなものを作ろうと思ったのかを説明します。
日本で普段天気予報などを見られている方は、気温や雨などを観測している「アメダス」についてご存じかと思います。1970年代から運用を開始したこのシステムは、日本全国で1,300か所もの地点で気象データを収集し、その情報を提供しています。観測地点同士の間隔が10km程度と言われていますが、この観測密度は世界に類を見ない細かさです。このような観測システムを他国で展開しようとした場合、数10年間にわたって継続的に維持することはコスト面からも運用ノウハウの面からも簡単ではありません。日本の気象観測網も、人口の減少や各種リソースの枯渇によって今後しっかり維持できる保証はありません。
このような問題を解決できる可能性のある有望な技術として世界中の研究者や開発者が目を向けているのがIoT(Internet of Things)技術による気象観測になります。この技術では、より安価なセンサー(ワンコインセンサーとも呼ばれる)やドローン、個人が設置する気象観測装置、携帯デバイスなどから取得できる気象に関する情報を使って、より安価に、場合によってはより多くの地点で観測データを収集することが可能になります。
現時点で設置されているIoTによる観測は、基本的には「固定された」かつ「常にOnの」観測点になっています。これは当たり前のことと思われるかもしれませんが、例えば雨を観測している場合などは、観測している時間の数%程度しか実際に雨が降っていないため、ほとんどイベントが起こらず、あまり情報量の無い状況を観測しており、非効率になっています。
IoT観測ではが人々や物の移動に対応して観測地点が動くことができ、On/Offも切り替えることができます。この性質を利用して、積極的に動いて重要な場所を観測することによって、より少ないエネルギーで、格段に効率的な観測ができるのではないかと考えています。また、ゲリラ豪雨や爆弾低気圧など、大きな被害につながりそうな対象にコストをかけて観測することによって、こういった現象が発生する前に警告できる可能性も高くなる可能性もあります。
機械学習と気象学、IT系の話題について興味を持っています。本ブログの記事は考えている途中のアイディアなどを気軽に発信することが目的のため、間違いを含んでいる可能性があります。記事の編集・校正などにChatGPTを使用しています。
博士(理学)、修士(情報学)、気象予報士
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