気象観測ボットを作成する理由の続き:観測活動の値段付け

今回は、私が気象観測ボットの作成に至った理由の続きを説明していきます。

もう一つの動機としては、気象観測に協力してくれる人々に対して適切な報酬を提供する社会を構築したい、という考えがあります。

気象観測が重要であるという意見に異議を唱える人は少ないと思います。気象観測により、気象科学が進歩し、大雨や大雪などの災害を事前に予測する能力が向上しています。しかしながら、これまでのところ、気象観測は基本的に気象庁が主導してきました。

過去10年から数年の間に、WeatherNews社や明星電気社などが、一般のユーザーの自宅に観測機器を設置してもらい、公的な気象庁の観測よりも詳細なデータを得るという取り組みが行われています。しかし、このような取り組みは、コミュニティの達成感が原動力となっており、ボランティアベースで運営されているか、対価が支払われてもそれが少額であることが一般的です。

最近では、Web3の技術の台頭により、気象観測のエコシステムを分散型(decentralized)で実現しようとするWeatherXMというサービスが出現しました。このサービスはまだ国内では導入されていませんが、観測活動を行うことで暗号通貨の形で報酬を受け取ることが可能です。しかし、この技術の価格設定メカニズムはTokenomics(トークンの供給と需要のバランス)に依存しており、気象観測自体の社会的価値と直接連携していないという問題があります。

この気象データの値付け問題を一気に解決するわけではありませんが、現在開発している気象観測ボットの「予測精度の向上」を目的関数としているという側面が、がこの問題の解決に役立つと考えています。個別の観測地点について、気象観測を行なった場合の予測精度の向上を評価できるため、少なくとも、すでに観測地点が密集している地点に置いても精度向上への寄与が小さいなど、相対的な観測地点の配置については評価することができると考えています。

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